TwinSense株式会社(東京都世田谷区、代表取締役:岡村一久、以下 TwinSense)は、株式会社環境エネルギー投資からシードラウンドで1億円の資金調達を実施したことをお知らせいたします。それに伴い、弊社は9月25日(水)よりグローバルに求人募集を開始いたします。
ウエブサイト:https://twinsense.ai/
「ニューロモフィック・コンピューティング」とは、生物の脳などの神経細胞の働きに着想を得たモデルを使用するコンピューティング技術です。次世代の先端AI技術として世界的に注目され米インテル社が大規模LSI開発に乗り出しており、SNN(スパイキングニューラルネットワーク)などを含みます。とりわけ、映像系のアプリケーションでは、「ニューロモフィック・センシング(測量=目の役割)」と「ニューロモフィック・プロセッシング(データ解析=脳の役割)」から構成されたシステムを指します。次世代コンピューターとしての中核を担い、データ処理の高速化と大幅な省電力化が期待されるこの2つの分野に日本でいち早く着手すべく、TwinSense株式会社を2023年12月に設立しました。
【開発背景】
現在、世界ではニューロモフィック・コンピューティングとそれに関わる先端AI技術SNNの開発が進められています。ニューロモフィック・センシングは既に開発が進み、仏スタートアップのプロフェシー、日本ではソニーなどが半導体センサーを開発し、精緻な測量が実現化しています。一方、ニューロモフィック・センシングで得られた測量データの処理・解析に関しては、現在全世界的に有効な開発環境やソフトウエアが存在せず、実用化には至っていません。また、ニューロモフィック・コンピューティングの技術を活用した開発環境が存在せず、社会実装に向けた実証実験を行える環境も存在しませんでした。そうした課題を解決すべく、下記の取り組みを進めています。
(1)「ニューロモフィック・プロセッシング」の開発(開発済み)
TwinSenseでは、既に開発された「ニューロモフィック・センシング(測量=目の役割)」製品の技術をソリューションとして実用化に近づけるため、「ニューロモフィック・プロセッシング(データ解析=脳の役割)」の開発を進めました。AIエッジ・プロセッシングを進化させるべく、画像解析の従来のAIテクノロジーであるCNN(畳み込みニューラルネットワーク)はもちろんのこと、次世代の先端AI技術であるSNN(スパイキングニューラルネットワーク)も同時に開発して実用化を目指しています
(2)「統合開発環境プラットフォーム」の整備(開発済み)
ニューロモフィック・コンピューティングの社会実装を世界に先駆けていち早く行うべく、EdgeSmart TechnologyTMを提唱コンセプトとして、これをベースとした「統合開発環境プラットフォーム」を開発しました。
プラットフォームにはイベント・センサ技術、AI技術、3Dグラフィック技術、コンピュータ・ビジョン技術の4つの技術が統合されており、今まで難しいとされていたリアルタイムでの高度な映像解析を低消費電力で行うことができるエッジ端末の開発が可能となります。具体的には、夜間の川の水位や波の状況、急なドローンの侵入など、今までのモニタリングでは検知は不可能とされてきたものでも、このプラットフォームを使用すれば鮮明に検知できます。
統合開発環境プラットフォームのシステムモデル
(3)クラウドサービス事業の展開(今回の資金調達により開発を加速)
今回の資金調達により、統合開発環境プラットフォームによって開発された様々なアプリケーションが稼働するクラウドサービスの事業を展開いたします。このクラウドサービスによって、交通状況監視、人流計測、災害監視、鉄道管制、見守りなどの省人化や省エネ化を実現できます。また、顧客が現在運用しているシステムのより大幅なコスト削減が可能となります。
今後は、既に当社と連携している各分野のリーディング企業とともに、ベータ版の機能評価を行い、より質の高いクラウドサービスを実現してまいります。
【今後の展望・人材募集について】
TwinSenseは今後の展開において、AIエッジ・プロセッシングをより進化させるため、世界的に注目が集まっているSpiking Neural Network(SNN)の研究開発を進めており、早期の実用化を目指します。今後はその分野での資金調達を進めていくとともに、以下の分野の研究開発人材をグローバルに募集いたします。
- 自立走行応用分野でのセンシング技術、マルチセンシング統合技術の開発
- AI(CNN、SNN)
【次世代先端技術SNN】
AI研究の歴史は、脳の機能をモデル化し、実用的な学習モデルを構築することに焦点を当ててきました。2000年以降、特に2010年代には、折畳ニューラルネットワーク(CNN)や回帰型ニューラルネットワーク(RNN)が大きな進展を見せ、第1の波として画像認識や自然言語処理の分野でブレークスルーを生み出しました。第2の波は、トランスフォーマーモデルの登場であり、スタートアップ企業のOpenAIがChatGPTを実用化しました。その後、MicrosoftのCopilot、GoogleのGemini、MetaのLlamaといった生成AIサービスがリリースされ急速に市場を拡大しています。今後、第3の波として、更に脳に近い動作を工学的に再現したスパイキングニューラルネットワーク(SNN)の実用化が期待されております。SNNはエネルギー消費が少なく、現行のエッジAIに比べて数100分の1から1000億分の1の超低消費電力で高速に複雑な事象を認識できる可能性(※)があります。
TwinSense社は、より人の脳に近いSNNを実用化するために研究開発をおこなっています。
※・intel newsroom「インテル 世界最大規模のニューロモーフィック・システムを構築してサステナビリティーの高いAIを実現」
https://www.intel.co.jp/content/www/jp/ja/newsroom/news/intel-builds-world-largest-neuromorphic-system.html
・AI-SCHOLAR
https://ai-scholar.tech/articles/survey/neuromorphics_loihi
【投資家コメント】
株式会社環境エネルギー投資 西川徹・尾﨑千紘
「TwinSense社は電子回路で生物の神経細胞を模倣する仕組みであるニューロモフィック技術の社会実装を可能にするソフトウェアを開発されています。
同技術の社会実装が進むことにより、従来ソリューションと比べ圧倒的に高速度・低電力な情報のやりとりが可能になり、データセンタ等の負荷低減にも寄与すると想定しています。
将来的にスマートシティー分野やAutonomous製品関連用途で社会実装が進んでいけば大きなインパクトを生む技術と期待し、今回出資させていただきました。
EEIとして同社の成長を全力で支援させていただきます。」
【TwinSense構成メンバー】
TwinSense株式会社立ち上げメンバーは以下の3名です。
代表取締役CEO・事業開発担当 岡村一久
インテルジャパンの後、欧米のベンチャー企業の日本責任者を歴任、神経工学の技術を応用したセンサーを開発する仏ベンチャー企業のPropheseeにて日本代表を務めました。
取締役CTO・ソフトウエア、R&D担当 ベンジャミン・シュミット
20年以上日本に在住し、3DCG, CV, AI, のスペシャリストとしてデジタルメディアプロフェッショナルズで取締役などを歴任後、Prophesee日本法人にて応用技術総責任者を務めた人物です。
取締役 経営戦略担当 國土晋吾
インテルジャパンを経て、米ベンチャーNuCore Technology 共同創業者、メディアテック (台湾)執行役員等を経て、現在ディープテックスタートアップの支援団体であるTXアントレプレナーパートナーズ代表理
会社概要
会社名:TwinSense株式会社
設立日:2023年12月19日
所在地:東京都渋谷区成城4丁目33番1
代表取締役:岡村一久
事業内容:ニューロ型センシングとプロセッシングの開発
プレスリリースに関するお問い合わせ:marcom@twinsense.ai
人事採用に関するお問い合わせ:hr@twinsense.ai